テスト不十分なままシステムがリリースされる理由。エンジニアが解説

とある記事でこんな内容をみました。新型コロナ対策での国民への10万円支給をするためのWebシステムの開発期間が10日間しか与えられず実施され、結局ろくにテストされずにバグだらけでリリースされたという話。

なぜこんなことが起こるんだ?ってお思いの方もたくさんいるはず。

ですが、IT業界ではよくある話なんですよ。

現役SEのたつのこが解説します。






なぜこんなことが?

その記事には「給付方針が定まらなかったことで、約1カ月あったはずのシステムの開発期間が10日間になった」と記載がありますね。

これをもうちょっと噛み砕きます。

このシステム開発の期間は約1ヶ月と書いてあるので、

システム開発の工程:要件定義→設計→製造→テストを約1ヶ月でやるということです。

そうするとエンジニア側は大体要件定義に1週間、設計・製造を並走させて1.5週間、完成した部分からテストをして1.5週間くらいで予定を組みます。

ですが、”給付方針が定まらなかったこと”が原因で開発期間が10日になった。

すなわち”給付方針が定まらなかったこと”=要件定義が伸びたことで後続の設計→製造→テストが10日になってしまったということです。

悲しすぎる・・・こんなのアリ?って思いますよね。

実はエンジニアからしたらあるある

エンジニアからしたらこれ実はあるあるです。

皆さんもやったこと、聞いたことありませんか?
顧客からの要件がなかなか固まらなくてけど、システムのリリース、サービスインの日程は変わらないというコワイ話。

今回の件もまさにこれです。






なぜ要件決まらないのに、リリースが延期されないの?

顧客とエンジニアの立場が故にこのような事態が起こります。

システム開発でよくあるのが、顧客がシステム開発会社に「こんなシステムを作ってくれ!」とお金を払って依頼する形。

今回も政府はどこかのシステム開発会社に開発を依頼したのでしょう。

そうなると

政府:いつまでにこういうシステムを作ってくれとお金を払ってシステム会社に依頼

システム開発会社:政府からシステム開発の仕事をお金を貰って実施する

雇用みたいな形が生まれるんですね。政府がお金払っているから立場がどうしても強くなります。

そうするとお金を払った側(政府)はお金払ったんだから契約通りいつまでに作れ!の論調です。例え政府が決めるべき要件(給付方針)が定まらないことでスケジュールが遅延してもです。

こうしてリリースは延期されず、システム開発会社はテストなどの削れる工程をできるだけ削って、無理やりリリースされる訳です。

まとめ:テスト不十分なままシステムがリリースされる理由

テスト不十分なままシステムがリリースされる理由を解説してきました。

いかがでしたでしょか?参考になれば嬉しいです。